ミソジノジスイ

25/11/19(Wed)

先日の鯛もそうですが、魚をおろした場合には料理人の特権というのがありまして、捌いた人が一番美味しい部分を独り占めできるというものです。ただしこの一番美味しい部分というのはマグロでいう所の大トロみたいな分かりやすい部分ではなく、目玉の周りとか後頭部といった普通は捨てられがちだけど実は美味しい、という部分であることが暗黙の了解となっています。今回の鯛の場合、私が一番美味しいと思って独り占めしたのは刺身の端の一番尾鰭に近い部分です。

この部分は尾鰭に近いだけあって幅が狭いうえに筋が集まっていて固く、刺身としては全然美味しくありません。しかし魚の筋ってのは軽く火を通すとプリプリの歯ごたえに変化して超美味い。私の場合この端の部分を鯛茶漬けにするのが大好きです。使うのはこの尻尾に近い部分に加え反対側の頭に近い部分。こっちは入っている大きな血合い骨を抜く際に身が割れがちなのと、やっぱり端っこなので幅が狭くて刺身にした時の形が悪いので、料理屋なんかでは真っ先に外される部分です。これらを醤油・味醂・胡麻油で軽く和えてからご飯にのせ、熱々のお茶をかけます。鯛の身が熱々のお茶でうっすら火が通った位がベスト。鯛は刺身で食べるよりこの鯛茶漬けにした方がよっぽど美味いと思いますが、その中でもこの刺身の端っこで作る鯛茶漬けは一番じゃないでしょうか。自分でさばかないとまず食べられない贅沢な一品です。

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