タコ頭

タコも足の部分はそれなりの値段がついてますが、頭の部分はそれに比べるとずっと安いんで、たまに買ってきます。ちなみにここ、本当は頭じゃなくて胴体だそうですね。タコ・イカというのは実に不思議な体のつくりをしています。

イカの頭の部分には薄い骨の様なものが入っていますが、タコにはありません。したがって、タコの頭は全部食べられます。味も足とそんなに違わないので、値段を見るかぎり、随分と冷遇されているんだなと可哀そうになってきます。よって、私が食べる。

今まで一番美味いと思ったのは、壇流クッキングの最後のほうに出てくる、スペイン風酢ダコをアレンジしたもの。タコの頭は食べやすい大きさにブツ切り。玉葱とトマトを小さめのザク切りにしてここに混ぜ合わせ、塩・胡椒・酢・オリーブオイルを混ぜて作った、シンプルなドレッシングで合えるだけ。本ではレモンを入れるのが鍵だと書いていますが、うちではレモンは常備しないので、かわりに、冷蔵庫に入れてある柚子の絞り汁を少々。

スペインだかイタリアだかの溺れダコという料理も簡単で美味しかったなあ。これは、トマトをたっぷり入れたスープの中で、じっくりと柔らかくなるまでタコを煮込んだ料理。私はタコとトマトの組み合わせがとても好きなので、タコを料理するとなると、どうしても洋風になってしまいます。オリーブ油がこれまたよく合うんですよね〜。05/06/10(Fri)

ヒコイワシ

私、東京に出てきてはじめて見ました、このヒコイワシ。体長5cmほどで、普通鰯といわれるマイワシとは違う種類みたいです。何がいいってこのヒコイワシ、いつでも店に並んでいて、安い。1パック15〜20匹ほどはいったものが100円で売られています。おまけに、ものすごく鮮度が落ちやすいので、そうなってしまうと50円。私が買わないわけはない。

鮮度がいい入りたてのヒコイワシは、私にとってかなりの贅沢品。刺身で食います。鰯の一種なので、当然身が柔らかくて手開きに出来ますから、手早く開いて刺身。鹿児島名物でキビナゴの刺身というのがありますが、ちょうどあんな感じ。手開きにしたヒコイワシの刺身を、醤油とワサビをちょこっとつけて食べる。一パック100円とは思えないような贅沢な味わいに浸ることが出来ます。

そして、当たり前ですが中骨と頭は塩をしてから干すことを忘れてはいけません。次の日から数日間は、ヒコイワシの(身無し)干物を楽しむことが出来ます。身が無いからといって馬鹿にしてはいけない。魚の美味しさは皮五割・骨三割・身二割なのです(ミソジ持論)。骨と皮を捨てるようでは、まだまだ魚食いとは言えないと思います。精進しましょう。

ところで、一晩経って一パック50円になってしまった場合、こうなると刺身で食べようとするのはチャレンジャーです。しっかりと火を通すのですが、鰯を煮るとなるとやはり定番は梅干し煮。普通に味醂と醤油で煮付けるところに、適宜包丁で叩いた梅干しを放り込む。こうすると、梅干しの酸味も合わさって、飽きのこない味となります。まっ、梅干しを入れなくてもそれなりにスタンダードな味にはなるし、生姜なんて入れるとそれこそ直球ど真ん中なんですけど、その辺はその時々の気分しだいということで。そうそう、小麦粉を付けてソテーも美味しいですよ。うちには無いですが、ウスターソースなんてドバドバかけると、B級の味わいになっていいと思います。私はオッサンなので、あくまで醤油ですけどね。05/02/13(Sun)

先日、親戚がキビナゴを1kg送ってきたので、必死で手開きした時に思ったんですが、似たような体長・形でも身の感じは全然違うんですね。ヒコイワシのほうがずっと柔らかい感じ。鮮度が良かったせいもあるのでしょうが、キビナゴのみは随分と硬い印象を受けました。どっちが美味いかといわれると、うーん、どっちもですね。新鮮なヒコイワシを手開きにして、醤油をつけて食うのも、それはそれは美味いので。

一度やってみたいと思いながら、そのままになっているのが、オイルサーディン。レシピによると、手開きにしたヒコイワシの水気をよく切り、塩・胡椒・鷹の爪などを加えて低温の油で10分ほど火を通せばいいそうなので、実に簡単に出来るはずなのですが、うちはパン食をしないからなあ…。薄く切ったフランスパンなんかにつけて食べると、最高なんでしょうが。05/06/09(Thu)

サメ

うちの近所で手に入るのは、サメの中でもモウカザメ(毛鹿ザメ)の切り身。あまり見かけないのですが、見かけるとかなり安値ということもあり、買ってしまいます。時にその切り身の切れ端がアラとして出ていることがあり、これはもう即買い。いかにも“血”という血がベットリとついていたり、サメという魚のイメージもあるんでしょう、安いんです。が、イメージと味は関係ないですから、美味しくて安ければ、私は何でも買います。市場にまるごと並べられている写真なんて、血まみれそのものですけどね。

一般的に、サメやエイの仲間は排泄器官が他の魚に比べて未発達で、そのため体内にアンモニアを溜め込んでしまうので、身が臭いというのが通説になっています。韓国のエイ料理であるホンオフェなんて結構有名かも。私も、最初は臭いんじゃないかな〜と思って買ったんですが、全然そんなことはありませんでした。鮮度が落ちてくると臭うのかもしれないけれど、少なくとも新鮮なうちは大丈夫。とっとと食べてしまいましょう。

さすがに刺身で食べるというのはチャレンジャー過ぎる気がするので、うちで作るのは照焼かムニエル。私はやりませんけど、フライにしても十中八九美味いと思います。要は普通の白身とほとんど変わりません。というか、黙って食べさせてサメと当てられる人はあまりいないんじゃないかな。おまけに、普通の白身よりもずっと安い。これは買わないと損でしょう。もう少し店によく出てくれるといいんだけど…。その点だけが残念な食材です。05/02/12(Sat)

もうだいぶ前になるんですが、高知に行った知り合いが、“鉄干し”というのをお土産に買ってきてくれたことがありました。サメの身をサクに切って味醂干にしたもので、炙って食べるのですが、油断して冷めてしまうと鉄の様に固くなることから、鉄干しというのだそうです(本当?)。これは美味かった。他の地方で、サメを干物にするなんてちょっと聞いたことが無いので、これは彼の地独特の食物なんでしょう。ネットで調べると、すぐに手に入りそうなんですが、それじゃ意味ないんですよねえ。やっぱりこう、市場みたいなところに行って、おばちゃんを軽口でからかいながら買ってきて食べる、そういうシチュエーションが燃えるわけですよ。変態ですか、そうですか。

それはともかく、今一度食べたい味、それが鮫の鉄干しです。噂によると、自由が丘に高知の食料品を専門に扱うショップがあるそうで、行ってみようかな。でも、自由が丘のオシャレな空気に当たると、私、呼吸困難になってしまいそうなんですよね。05/06/08(Wed)

鯵も安い魚のひとつで、時にかなり大ぶりなやつが1匹100円なんていう特売に出くわすこともあります。でも、様々なアラを使いこなす技術を身につけてしまった私にとっては、鯵は高級魚。今夜はちょっと贅沢するかな〜って時に、初めて鯵を買うしまつ。リッチ何だか貧乏なんだか、サッパリ分かりません。

贅沢な夜の鯵ということで、主に作るのは、刺身もしくは酢〆です。酢〆は要領としてはシメサバと全く同じ。ただ、サバよりもずっと身が小さいので、塩〆の時間もそれ相応に短く、1時間もかければ十分でしょう。生姜なんてあると、嬉しいですね。まあ、そんなラッキーは滅多にあるはずもなく、大概は普通にワサビ醤油ということになるのですけど。

しかし、本番はここから。三枚におろしたときに残る中骨と頭、これを一夜干しにしてしまいます。要は、よく見かける鯵の開き、あれの身が無いものと考えていただければ、ヨロシ。頭は良く見かけるやつ同様二つに割って風が通りやすいようにし、中骨と一緒に塩を手で揉みこんで、窓の外に設置してある干し網の中へ。身があるよりも断然乾きやすく、天気さえ良ければ、一晩で食べられます。

割と重要なのが焼き加減。身ではなく、骨を食べるというのがポイントなので、弱火でカリカリになるまでじっくりと焼きます。頭も同様。そして、焼きあがったものは、ここが目玉・ここが脳味噌などと余計なことを考えずに、端からバリバリと食べるのが肝要。骨煎餅みたいなノリで、かなりあっさり美味しくいただけます。重ねて言いますが、鯵は(私にとっては)贅沢食材です。最後まで食べないと、罰が当たろうというものでしょう。05/02/11(Fri)

鯵で有名な料理といえば、鯵のタタキがあります。でも、鯵のタタキと鰹のタタキ、同じ名前なのに調理方法が全然違うのはどうしてなんでしょう?昔から疑問だったんですけど、どなたかご存知ないですかね。鯵の方は文字通り叩くんで分かりますが、鰹の方がよく分からない。あれ、叩くんじゃなくて炙ってるんじゃないんでしょうか。ひょっとして、高知弁?

それはまあ、置いておいて、鯵のたたきというのは三枚におろした鯵の皮を剥き、包丁でストトトトンと叩いた料理で、新鮮なものをワサビ醤油で食べると絶品。ハンバーグにするわけじゃないんで、叩きすぎず適度に身の塊を残すのがポイントだと思います。ただ、ここまでやると、私としてはお茶漬けにした方が美味しいと思うんですよねえ。

たたいた鯵に醤油を回しかけ、しばらく置いて鯵を馴染ませたものを、茶碗に小ぶりに盛ったご飯にのせてワサビ少々。周りから熱々のお茶を回しかけたらザクッと混ぜ、鯵の身がさっと白くなったやつをガガッといただく。ハラショーです。ちなみに、お茶を回しかける時は、ワサビに当たらない様にするのがGoodだと、料亭一升庵の女将であるおせんさんが言っておりました。よくある料理ウンチク+涙ホロリ漫画ではありますが、クッキングパパと並んで私は好きです(“しんぼ”・“じっこ”・“のすし”などは嫌い)。鯵とは全然関係ありませんでした、すみません。05/06/07(Tue)

とりあえず安い魚といったら、何といっても鰯。養殖魚の餌になってしまうこともあるくらいの魚ですが、鮮度がいい鰯は、美味しいです。大ぶりの鰯が1匹あたり100円以下なんてことは珍しくなく、最近の流通技術の発達からか、生で食べられるようなものまで結構あります。そういう時は、とりあえず買い。

買ってきた鰯は、可能であれば生食。包丁でおろしてもいいんですが、鰯といえばなんといっても手開き。慣れれば、1匹あたり10秒〜15秒程度でさばけてしまいます。それに、この方が切り口が荒れるので、何となく醤油がしみやすい気もしたりしなかったり。皮を剥がして、刺身にするかタタキにするかはその時の気分しだいですが、私はタタキの方がやや好きかな。しかし、一番好きなのは、そのタタキを使った鰯茶漬けだったりします。

十分ほど醤油につけて味をしみこませた鰯のタタキ、こいつを軽く盛ったご飯に乗せ、いつもの様に熱い番茶をかけて茶漬けにします。ワサビも忘れずに。味が薄ければ、塩を振って調節。ネギがあったりすると、刻んで入れても美味しいです。これ、本当にご飯が何杯でも食べられます。私は自制していつも三杯でやめときますけどね。

安売りの鰯を大量に買い込んでしまった場合は、一夜干しがオススメ。塩水に漬けるのが正統派なんですが、面倒なので、私は手開きにしたやつに直接塩を振ってしまいます。あとは狙った状態になるまで干せばOK。すぐに食べない分は、1匹づつラップに包んで冷凍しておき、食べる時に凍ったまま焼けばヨロシ。あまり長いこと保存すると、冷凍庫臭くなってしまうので、なるべく早く食べた方がいいと思います。

そして、この一夜干しの時に一緒に干すのが、手開きにした時にとった中骨と頭。頭は下側から包丁を入れて開き、乾きやすいようにしておきます。実はこの中骨・頭の方が身よりも美味いんじゃないかと思うくらい、私は好きです。じっくりとカリカリになるまで焼いた中骨・頭は、まさに珍味。酒が飲めれば、いいアテになるでしょうね。05/02/10(Thu)

もうシーズンじゃなくなってしまいましたが、鰯のツミレ鍋というのがとても美味しくて、冬場には何度か作ります。作りかたは超簡単。手開きにした鰯の皮をとり、身をトコトン包丁で叩いたら、すり鉢に入れて塩を少し加えてから、これまたトコトンすります。沸騰したお湯にスプーンで形を整えながらこれを投入し、さっと火が通るくらいで引き上げておきます。土鍋にアクをとったこの煮汁を引き、ミンチボールを戻しながら、水炊きのようにして食べるだけ。具は、鰯と白菜のみ。酢醤油を同じ煮汁でのばしたものでいただきます。

これは美味いですよ〜。鰯三匹入りパック200円で家族が十分楽しめるくらいの量が出来ますんで、財布にも優しい。鰯のツミレ鍋は、最高です。無論ですが、皮はその鍋でしゃぶしゃぶと火を通して食べてしまいますし、頭と中骨は塩をして干してからカリカリに焼きます。腹子が入っていたら、醤油と酒でさっと煮て、美味しいオカズに。捨てるところは、腹子・肝以外のワタのみ。これだけ食べられたら鰯も本望でしょう、くらいの勢いで食べるのがポイントです。05/06/06(Mon)

サバ

サバも安い魚です。最近は流通がよくなったせいか、結構新鮮なものまで安く手に入ってありがたい限り。サバといえば、味噌煮。家庭料理に飢えた独身男を陥落させるのは、サバの味噌煮か肉ジャガかというくらいですが、あまりサバの味噌煮は好きじゃないので、そんなに作りません。むしろ、塩焼きにした方が好き。特に、二枚におろしたサバの背骨の付いている方。その背骨に切り取ったあとの身の残骸としてついているごく薄い身。これをペラッと剥がして食べるのが好き、なんてマニアックすぎますかね。

あとは、塩焼きにした時の皮。うまく焼くと、パリパリジューシーな食感になるのですが、それが最高。サバの塩焼きというと皮を残す人も多いんですが、ユメユメ残してはいけません。ここが一番美味しいくらいなんですから。

でも何といっても一番は、シメサバ。難しいんじゃないかと思われがちですが、魚が三枚におろせれば、誰でも出来ます。三枚におろす・半日塩で〆る・毛抜きで小骨を抜く・10分ほど酢に浸す・皮を剥いて切ると特に難しいことは何もしてません。シーズンになると、大きなサバが1匹250円とかで売ってますから、これを使えばシメサバ食べ放題。私はシメサバ大好き人間なので、まさに至福の時。ちなみに、使わない頭は二つ割にし、中骨・腹の剥身と一緒に塩〆め・酢漬けと同じ作業を行います。そしてこれを、焼いて食う。酢に漬けた身を焼くなんてとヒク人も多いんですが、これが実に美味しいのです。実家では昔からサバの姿寿司の頭を焼いて食う習慣がありまして、それを踏襲したもの。本当に美味しいですよ〜。05/02/09(Wed)

近所のスーパーで、たまにサバの真子(=サバの卵)を売ってることがありまして、見つけると大喜びで買ってきます。一パック200gくらい入って、100円とバカ安。おまけに、結構血まみれで見方によってはグログロなので、残っている率高し。こういうところこそ美味しいんですけどね。

腹子を含め、魚を煮る時に私が注意していることは、とにかく煮過ぎない事。煮汁を沸騰させ、そこに真子なら真子を投入。30秒ほどして、投入したことで下がった煮汁の温度が戻った時点で蓋をして火から下ろし、保温箱へ入れて余熱で調理。煮過ぎる→臭くなる→生姜などの臭みけしが必要という悪循環に陥らず、魚そのもののおいしさを味わうことが出来ます。サバを煮る時には、一般的にかなりの割合で生姜が使われますが、私はあれはジャマだと思います。サバのいい香りが全部生姜で消されてしまう。無論、サバの鮮度に問題があって、それを誤魔化すためという積極的な理由があれば別ですが、鮮度のいいサバなら、かえって生姜を入れないほうが美味しいと思います。やはりなんといってもシンプル・イズ・ベストです。05/06/04(Sat)

イカ

私の傾向からして、“ゲソ”と言いそうなものですが、違います。さすがにイカともなると安いので、丸ごとでもゲソパックでも、そんなに値段は変わりません。イカは冷凍しても味がそんなに落ちないので、冷凍イカでOK。これなら1杯150円程度で買えますし、生のスルメイカも、時々100円で安売りしています。無論、ゲソパックが激安ならばそちらになってしまいますが、それはそれ、ケース・バイ・ケースです。

鮮度の良いイカが手に入ったら、とりあえず刺身にして食べることもありますが、東京で手に普通に手に入るイカの鮮度でしたら、私は火を通した方が好きです。その方が手間もかからないし、無駄なく食べられます。

買ってきたイカは、とりあえずパーツに分解。胴体・ミミ・足・ワタ、こんなところでしょうか。火を通す場合は、面倒なので皮は剥きません。捨てるのは、胴体の中に入っている軟骨・足の付け根にある嘴の中のカラ・ワタの側面に細長く付いている墨袋・吸盤についている爪くらいで、あとは全部食べます。一番簡単なのは、定番醤油焼き。ワタ以外を全部ぶつ切りにし、醤油に漬け込んでおいて、少しづつ焼いて食べます。多少味醂を入れてもいいけれど、漬けダレはあまり複雑にしないほうがいいかも。

あとは、イカ飯。イカ飯というと中にご飯を詰め込んで蒸すアレを思い出しがちですが、あんな面倒なこと出来ません。ぶつ切りにしたイカをご飯と一緒に炊いてしまえば、誰が何と言おうとイカ飯です。見せる料理じゃないんだから、簡単な方がヨロシ、by魚柄流。それに、腹の中に米を詰め込む方式より、こうやって混ぜて炊いてしまった方が、1杯のイカからたくさんのイカ飯を作ることが出来ます。詰め込むのは使える米の量に限りがありますしね。

しかし、何といっても忘れてならないのは、ワタ。風の噂によると、捨ててしまう人が多いようですが、ここがイカの中のイカ、最も美味しいところですので、捨てるなんてとんでもないです。身と一緒に料理するのなら、何と言ってもワタ煮。少し濃い目にに醤油と味醂で煮付けたイカ、ここに最後の最後に先に少し穴を開けて搾り出したワタをからめます。乱切りにした大根や里芋を一緒に煮ておくと、更に絶品。ご飯に少しづつのせて食べると、ご飯が何杯でも食べられてしまうというとんでもないお惣菜になります。

もし、他のパーツを使ってしまったのなら、塩をして一晩おいたワタをラップで巻いてさっと蒸すのがオススメ。これは珍味系の味で、ダメな人はダメかと思いますが、私は大好き。海苔の佃煮のような感覚で、ご飯に少しづつのせて食べます。酒を飲む人は、これを舐めながら酒を飲むのもいいかもしれません。そうそう、酒とイカといえば、やっぱり塩辛。新鮮なぶつ切りの身・ワタ・塩だけで作る自家製塩辛は、一度食べてしまうと、市販品は食べられなくなるような美味しさ。簡単に出来ますので、新鮮なイカが手に入ったら、一度作ってみてもいいかもしれません。ホント、オススメ。イカって、料理のバリエーションが広すぎて書ききれないですね〜。05/02/08(Tue)

先日立ち寄ったなじみの古本屋でふっと手にとった佐藤初女さんの本に、イカの塩辛の作り方が書いてありました。手元に無いので正確では無いのですが、“イカの塩辛というと、隠し味と称して色々な調味料を加える方が多いのですが、私は良いイカと塩それだけで十分だと思います。”というようなことが書かれており、ハタと膝を打ちました。日頃隠し味に関して感じていた、漠然とした疑問が解けた気がしましたので。

隠し味というのは、表面には味として表れないけれど、それを入れることで味わいが深まるような調味料の使い方を指します。確かに、そういうケースもあります。が、一方で隠し味として○も●も◎もいれた〜という自己満足で終わっているケースも少なくない様に見受けられます。冷静に味だけをみると、逆にゴチャゴチャと混乱してしまっているのに、入れた本人は味が複雑になったと大満足、というようなケースがそれ。インド発祥のすっかり日本食として定着したあの料理に典型的に見られるケースです。どっちかというと男の料理系に多いかもしれないですね。

もしかしたら、塩辛はその代表格。単純ですぐ作れて、日本酒と相性がいいために、料理に興味を持った男性がとりあえず作ってみることが多い。が、塩とイカだけじゃ何となく達成感が無いって事で、色んなものを入れること入れること。味噌・醤油・酒粕なんてかわいい方で、急進的に人なると、あれやこれやそんなものまで。実際に味をみて、入れた隠し味がトータルでプラスとして効いているのなら、私とて文句は無いのですが、案外そうでないケースもありそうです。イカの塩辛は、イカと塩だけでとりあえずはいいんじゃないですか?

ちなみに、佐藤初女さんというのは、ガイアシンフォニーでオニギリを作っていた人と言った方が通りがいいかもしれません。ですが、私はこの映画を見ていないのでよく知らないのです。どうもこういうアーシー&エコな感じの映画が苦手で。自称都会派なものですから。05/06/03(Fri)

ブリアラ

季節的に美味しい魚ですね、ブリ。寒い季節になると、スーパーの鮮魚コーナーにもたくさんのブリの切り身が並び、それに伴い、たくさんのブリのアラも出ます。たくさん出はするんですが、ブリは養殖ものが多いのが気になって、他のアラほど積極的には手が出ません。実は鯛も(私の手に入るようなクラスのものは)ほとんどが養殖なんですが、こっちは好物なので買っているあたりが私の一貫性の無いところ。

それはともかく、やっぱり時に食べたくなるブリ。鮮度がいい場合は、まず形の良い部分を選り分けて、刺身にします。ただし形が良いとはいえ、所詮アラ。普通の刺身のような形は望むべくも無く、トロロマグロを作るときのマグロのような形になってしまうのは、仕方ないです。かなり脂の強い魚なので、薬味は必須。ワサビが順当なのでしょうが、私は案外大根おろしが好き。辛味大根があれば言うことないんですが、そんな僥倖は万に一つもありません。青首大根でいきます。それでも、大根おろしのサッパリした風味とブリの脂は実に良くあうと思います。

次は塩焼きor照焼。これも簡単。塩か味醂醤油に適宜漬け込んだ切り身を、網で焼くだけ。誰でも出来て、美味い。ブリは特に皮が美味しいですね〜。実家の父は魚の皮を食べない人なので、一緒に住んでいる頃は貰って食べてました。身だけをまず楽しみ、皮だけになったらもう一度さっと炙ってパリッとさせてから、ご飯を巻いて食べる。コレ最高。ただし、そこまで我慢できずにサッサと食べてしまうことがほとんどなのが、玉に瑕。

ところで、ブリと言って普通真っ先に思いつくのは、ブリのアラ煮だと思います。でも、私はほとんどやりません。うちは一人暮らしなので、作ったものを少しづつ3〜4日程度かけて食べていきます。ブリのアラ煮の場合、冷蔵庫に入れておいても、この間にどうしても魚臭さが強くなってしまうんです。それを防ぐためには、生姜を多めに入れたり、味付けを濃くしたりすればいいんですが、それだと今度は魚の風味が失われてしまうので、あまりやりたくありません。うまい解決方法が無くて、いまだ考え中。家族何人かで一緒に住んでいれば、作り置き惣菜の回転速度も上がって問題解決なんですが、まだそういうわけにもいかないし。当面、アラ煮は封印です。05/02/07(Mon)

ブリアラでもうひとつ忘れてならないのが、ブリカマ。ブリカマの塩焼き、最高。作り方も、ここに書くまでもないくらいアホみたいに簡単。ですが、うちではやりません。ブリカマ一個分を一食で食べると、脂も多いですので、私にとってはかなり食べすぎになってしまいます。かといって、2〜3回に分けて焼けばどうかというと、カマはあの形だからこそカマなわけで、あれを出刃やキッチンバサミで強引に切り分けて焼いても、イマイチ気分が盛り上がりません。何かいい方法は無いもんですかね。

ですので、うちでやる塩焼きは、アラのブツ切りセットの中に入っていた切身の中で、塩焼きに向いていそうな形・質のものをピックアップして使ってます。“たまにはブリカマ一個丸ごといっちゃえよ”という悪魔の声が耳元で聞こえることもありますが、日頃培ったモッタイナイ精神はそうそう簡単に乗り越えることが出来ません。所詮私は、アラセット止まりの男ということです。05/06/01(Wed)

生食不可の刺身

主に鰹・鮪の刺身が売れ残り、鮮度が落ちて色が悪くなったものが、パックにドサッと入れられて投げ売りに出ることがあります。当然価格も安い。見つけたら、即買いです。確かにそのまま生で醤油をつけて食べるのはムリですが、別に生食だけが全てじゃありません。まだ腐っているわけではないので、火を通して美味しく食べることを考えると、これほど割安な食材もあまりありません。

最も簡単で、最もよくやるのが味噌漬け焼き・醤油漬け焼き。味醂で溶いた味噌・醤油に漬け込んで下味をつけてから、焼きます。刺身にひかれて身が小さくなっているので、30分も漬ければ、十分味がしみて美味しくなります。ただ、味がしみこみやすい分、どうしても塩味が強くなりやすいのは仕方ありません。調味料を少なくして味を良くするかわりに保存性を捨てるか、濃い味のものを毎日少しづつ食べるか。私は後者ですが、そのへんは個人差があるでしょう。

醤油漬けにしたやつを葱と一緒に汁に仕立てれば、あっという間にネギマ汁になります。簡単で、実に美味い。特に、身をあらかた食べ終わって醤油が残った頃、その身を使ってネギマ汁を作り、残った醤油で味付けをするというのが無駄がなくていいと思います。なにせうちは、調味料だけは結構いいのを使ってますから、これをそのまま捨てるなんて、言語道断。

しかしなんといっても一番好きなのは、魚柄氏の本で知った、すり流し汁というやつ。ちょっと面倒なんで、疲れて帰ってきた日はムリですが、そこそこ気力があれば作ります。とはいえ、作り方自体は実に簡単。包丁で叩いた身をすり鉢に入れ、よ〜くすります。そこに味噌を入れ、均等に混ざるようにすり続けます。混ざってきたら今度は水を少しづつ入れ、これまた均等になるように混ぜます。これが狙った汁の分量になったら、鍋に移し、ヘラで混ぜながら弱火。沸く寸前に火を止め、葱を散らして完成です。味噌の量は完成量から逆算して、上手く味がつくように調節してください。

これがね、なんとも言えず美味いんですよ。味わった人しか分からないような、新感覚。夏場は冷やしても美味しいらしいですが、その場で熱いうちに飲んでしまうので、やったことありません。それくらい、美味い。是非試していただきたい一品です。05/02/06(Sun)

刺身とはちょっと違うのですが、外食をした時に、大皿に盛られた刺身を引き立てるツマ。大根・キュウリ・大葉など色とりどりの飾り野菜で作られていて、目にも美しく、醤油をちょっとつけて食べると実は結構美味い。でも、実際はこのツマ、ほとんどが食べられることなく捨てられていると思います。それを見るたびに、心が痛む。モッタイナイなあ。

実家はみんな刺身好きなので、色んな魚を丸ごと買ってきて、父親がさばいてましたが、その時のツマの定番は、冬なら大根で夏ならキュウリ。大根はおろし金にスリットが入ったような道具で千六本にし、キュウリはピーラーで所々皮を剥いてから、スライスして使ってました。実家は兼業農家なので、これらの野菜は基本的に自家製。野菜はハイ・シーズンになるとバカみたいに出来るので、モッタイナイなんて感覚はサラサラ無く、豪快に使い、豪快に捨てるのがキホン。そうですね、作ったツマの9割は廃棄してました。子供心に、モッタイナイなと思ってはいたのですが、あまりに大量に作るので、どうすることも出来ず。

今私がやるんだったら、盛り付けを工夫して最小限のツマで見栄え良くし、そのツマは刺身と一緒に醤油で食べてしまいます。ツマに使わなかった野菜は、他にいくらでも使い道がありますので、無問題。外食の時に出てきた刺身のツマは、一人づつ刺身が盛られている場合は、基本的にツマまで全部食べます。実は飾り野菜はその存在意義上、見栄えを良くするために農薬がかなり使われている場合が多いので、少し心配でもあるのですが、見えない農薬への心配より、目の前のツマが残されて廃棄されるのがイヤでたまらない、イヤシイ私です。05/05/31(Tue)

鰹アラ

これもシーズンになると結構あります。おまけに、安い。一パック100円なんてザラで、見つけるとよく買ってきて食べてます。ただ、マグロ・カジキマグロなんかと比べて元の魚体が小さいためか、本当に“アラ”という感じ。中骨はタップリ入ってますし、人によっては全く食べられないという、血合いの部分が入っていることも多いです。中骨周り、小骨の入った血合い、切り身の欠片なんてのが多いかな。

中骨周りは、お約束の様に中落ち丼。カツオもマグロ同様身が柔らかいので、スプーンを使うとあっという間に掻きとることが出来ます。鮮度に問題さえなければ、これは美味い。丼にするときは、せっかくですからご飯少な目、身たっぷりがいいですね。下手に小細工をせず、醤油とワサビだけで正面突破するのが好き。

血合いは、その赤黒い色と、いかにも“血”っていう生臭さで敬遠する人も多いですが、私は逆に鰹らしくて好きです。さすがに生で食べるのはちょっと…ですが、焼いてしまえば平気。鰹にはニンニクがあうと思っているので、一晩ニンニク醤油に漬け込んだものを次の日以降、網で焼いて食べます。私はほんの少し辛子を添えて食べるのが好きなんですが、この辺はまあ好みでしょう。ワサビでもいけると思います。

中落ちをとった骨、これはいいダシが出るのでそのままでは捨てません。背骨は包丁で真っ二つに切って味を出やすくし、昆布とのコンビネーションでダシをとります。かなり濃厚なダシが取れるので、芋・大根・人参などの根菜類を煮るのに使うことが多いです。ダシをとったあとのガラは、さすがに捨てます。畑があれば肥料にするんですが、残念土地が無い。ほんの一坪でもいいから地面があれば、色々できるんですけどね。将来のささやかな夢のひとつです。05/02/05(Sat)

ごくごく稀に、鰹のアラの一種として、“砂ずり”というのが出ることがあります。コレ、最高。だけど、本当に滅多に見かけません。魚を専門に扱っているお店に行ってリクエストすれば、手に入るとは思いますが。“砂ずり”というのは、要するに鰹の腹の部分。鰹をさばく場合には、頭を落とす→ハラワタを出す→三枚におろすという手順をとるのですが、このハラワタを落とすために、腹の身を薄く削ぎとります。ここが砂ずり。マグロで言うと、大トロの部分に近いだけあって、濃厚な旨味。

マグロよりもずっと魚体が小さいので、筋の間隔が詰まっており、生食は無理ですが、塩焼きにすると絶品。塩をして数時間〜一晩置いたやつを網で焼くだけ。脂身と火の通った筋、軽く焦げた皮が絶妙のハーモニー。噂によると、鰹の水揚げがある漁港では、捨て値同然の値段で投げ売られているとかいないとか。あぁ、そんなところに住んでみたい。05/05/30(Mon)

マグロアラ

結構、出ます。鯛アラと同様、消費が多いのでアラも沢山出るということなんでしょう。骨が入っていることもありますが、元の大きさが大きさなので、入っているのはほとんどが棒状の単純な形のもの。取り出すのは簡単です。内容は、カジキマグロと似ており、サクをとったあとに残った不定形の切り身・皮ギシ・筋が多くて生食できないところ、あたりが多いかな。

多くの場合は、鮮度が落ちてアラになったわけではなく、形や部位がまずいためにアラになってしまったものなので、そういうものは生で食べられます。筋が無ければ、包丁で切り取って普通に刺身として食べますし、筋が多いところはスプーンで身をこそげとり、そのままで中落ち丼・葱とあわせれば葱トロ丼にして食べられます。とりあえず王道、無難に美味しいです。

残った筋は魚柄流に吸い物に回すのがうちの定石。昆布ダシで塩味を付けた吸い物に投入して数秒で、独特の食感の美味しい吸い物になります。常備してある陳皮・麩・葱などを気分しだいで入れれば、割と本格派。アラを買ってくると必ず作るものの一つです。

とはいえ、アラって一パックに結構入ってますから、一人暮らしだと最後まで生で食べるのはムリ。元々が解凍品なので、再び冷凍するのはちょっとためらわれます。そういう時は、醤油漬けか味噌漬け。しょうゆ漬けは、タッパーに入れたアラに醤油をダバダバと注ぐだけ、味噌漬けは、タッパーに入れたアラを味醂で溶いた味噌でからめるだけ。次の日くらいから食べられます。くれぐれも火を通しすぎて硬くならないようにすることだけがポイントといえばポイントかな。この味噌漬け焼き・しょうゆ漬け焼きは、ご飯に抜群にあいます。意外なことに、生では食べられない筋が沢山入っていればいるほど、私は美味しく感じます。火を通した筋は、美味しいんですよ。05/02/04(Fri)

最近ちょっと状況が変わってきまして、よく行く業務用スーパーでは、アラのパックが凍った状態で出ていることがあるんです。これは、買った後全速力で帰宅して、そのまま冷凍庫に突っ込めば、一月ぐらいは全然大丈夫な…はず。というわけで、今も冷凍庫には二パックほどマグロのアラが入っています。ちなみに各1kg強。一人暮らしの冷凍庫で、こういうのはちょっとないかもしれません、自慢することじゃないですが。

ところで、マグロのアラのパックでひときわ安いのが、血合いばかりが入ったもの。これは他のマグロのアラの2/3くらいの値段で手に入ります。つまり、1kg200円くらいね。これは、安いだけあってちょっと手ごわい。なにせ、血ですから、ものすごい癖があります。以前チャレンジャーにも、単なる塩味の網焼きで食べてみたのですが、さすがの私が臭くて食べるのに難儀しました。いや、食べましたけどね。それ以来、戦略を変えてムニエル中心。

塩・胡椒・ニンニクであらかじめかなり強めに下味をつけてタッパーに入れておき、小麦粉をはたいて、フライパンで炒めます。こうすると、多少臭みが和らぎます。そして、ポイントはソース。御フランス料理でよくありますね、魚のソテーを真ん中において、周りにオリーブオイルとビネガーメインのソースを美しく散らしてるやつ。あれにヒントを得、オリーブオイル・ビネガー(米酢です、すみません)・塩胡椒・月桂樹あたりでソースをでっち上げ、それをつけながら食うと、結構美味しいということに気がつきました。魚の臭みが気になる時は、オイルと酢、これしかありません。

よく考えると、マヨネーズとかタルタルソースってよく魚料理に合うのはこういう理由だったんですね。結構やばそうな鮮度の魚も、強めに塩胡椒してソテーしたものに、タルタルソースやマヨネーズをドバッとかけると、何となく食べられてしまいます。結構注意が必要ですね。05/05/28(Sat)

カジキマグロのアラ

これはもう、ものすごく出現頻度が低いです。滅多に出ませんが、出てると速攻買い。よほど人気が高いのだと思います。カジキマグロのアラは、鱈のそれと同様、切り身を整形したときに出る端の部分がほとんど。したがって、骨・筋はほとんど付いておらず、実質切り身と同様のクオリティでありながら、形が不揃いなだけ。これはお得です。ただ、鯛などと違って全体が均質なので、面白みに欠けるといえばそうかも。別に面白くなくったって、美味しいからいいんですが。

ある程度厚みのあるものは、粉をはたいてムニエルにするか、塩などで下味を付けておいて網で焼くか。魚全般に言えることですが、火を通す場合には、焼きすぎないことが最大のポイントだと思います。肉よりももっとパサパサになりやすいのでら。買ってきたその日、まだ新鮮な状態であれば、ミディアム程度で火を止め、あとは余熱に任せるのが最上だと思います。日が経ってくると、仕方がないのでよく火を通すことになります。それにしても、これは美味い。

ただ、カジキマグロのアラは、厚いものばかりではありません。整形過程で出た、紙のようにペナペナの身も結構入ってます。これはどう焼いてもパサパサで美味しくないので、あれば葱も一緒に包丁で叩き、葱カジキマグロ丼にしてしまいます。してしまいますと書いてしまいましたが、こんな安価で美味い丼はそうそうありません。無論、鯛茶漬けの要領でカジキマグロ茶漬けにしてもOK。こうすれば、薄い身もそのポテンシャルを生かして美味しく食べることが出来ます、大満足。05/02/03(Thu)

一週間ほど前になるでしょうか、カジキマグロのアラを見つけて買ってきました。超嬉しい。いつもいつも醤油漬けでは芸が無いので、今回は味噌漬け焼き。塩をして一晩おき、ドリップを抜いた切身に、味噌を塗りつけ再び一晩。コレを網でじっくりと焼くわけですよ。味噌は水で洗い流すのではなく、指でこそげとるのみ。こうすると、残った味噌が焦げてこれまた美味しさアップ。箸でほじった味噌を炊きたてのご飯にのせるでしょ、それをカパカパと食べていくわけですよ。1kg300円のカジキマグロのアラで一週間楽しめるなんて、なんて安上がりじゃないですか。

ちなみに、味噌漬けだと食べられるようになるまで二晩かかるわけですが、その間はペラペラの身を使った、葱カジキマグロ丼。二つをあわせ、ペタペタになるまで包丁でよく叩いたら、アツアツのご飯にのせ、醤油をタラリ。ワサビは混ぜ込まずに、後で少しづつのせながら食べるのがツウですね。私、そういうところは気取るんですよ。05/05/27(Fri)

腹子

鯛のアラのことを書き終わってから、そうだ、腹子のことを書いていないと気が付きました。常識かもしれませんが、腹子=魚の精巣(白子)・卵巣(真子)。高いのは鱈の白子。鍋にすると最高ですが、高くて買えません。私がよく買うのは、鮭・鯛・鯖などの腹子。これらとて、極めて高いポテンシャルを秘めているのですが、何せ形がグロテスクで人気が無いのか、いつも捨て値のような価格で売られています。鮭の白子一腹分200円とか、鯛の白子と真子二腹ぐらいづつで300円とか。

知ってる人は知ってるからなのか、そんなに出現頻度は高く無いですが、見つけたら最優先で買います。そして定番は、さっと洗って酒蒸しにしたも鮭の腹子をポン酢に浸す、腹子のポン酢漬け。丸ごと漬け込んでおき、食べる時に端から切っていくと、ポン酢が染み込みすぎずによろしいかと。とにかくポイントは、火を通しすぎないこと。大きさによりますが、私は3〜5分で火からおろしてしまいます。こうして作ったポン酢漬けはもうね、絶品。

鯛や鯖の真子・白子だったら、さっと煮ることが多いかな。昆布ダシ、塩で味を決め、醤油・酒でほんのり香り付け。本当にあっという間、さっと煮て、あえて冷めるのを待ってから食べる。隣に住む大家さんの家の玄関のところに、山椒の小さな木があるので、この時ばかりは、木の芽を貰ってきて添えることにしてます。外で食べると、野菜を煮あわせたものも多いですが、この煮物に関しては、私は単体で煮た方が好きです。まあ、単なる好みの問題ですが。

魚に関しては、グロテスクなもの、形の悪いものが美味しいというのは真実かもしれません。アンコウだってあんなだし、腹子だってこんなですから。でもね、美味しいんですよ、ホント。05/02/02(Wed)

わたしは家では全くパンを食べない(オーブン・トースターも持ってない)ので、作ったことは無いのですが、もしもっていたら絶対作ったであろう一品が、腹子パテ。買ってきた腹子(この場合は白子の方がいいと思う)を蒸したものを、裏ごしし、塩胡椒・マスタードを入れてよ〜くこねるだけ。マスタード・胡椒で魚の臭みも気にならないだろうし、絶対美味いと思うんですよ、コレ。誰か作ってみてくれないですかね。

というのも、先日友人の家で豚レバーのパテというのを食べまして、パテって美味いね〜と思ったからなんです。薄くスライスしたフランスパンにどかっとのせて食べると、最高。豚レバーなんてそれこそ、捨て値のような値段で売られてますから、自分で作ったら安上がりでしょうね。それが、瓶詰めになるとものすごい値段になるんですから、資本主義恐るべし。

それはともかく、腹子です。実際数日前にも鯖の腹子一パック100円也を買ってきまして、生姜醤油で煮て食ったらば、最高に美味かったです。煮汁ごとご飯にかけて食べたんですが、世の中にこんな美味いものがあるのかと、われながら感動してました。つくづく安い男です。05/05/26(Thu)

鯛アラ

スーパーでアラコーナーばかりうろついている私のような人種はともかく、フツウの人にうちの近所のスーパーで一番よく出るアラは鯛だと言ったら驚かれるかもしれません。でも、ホント。ということは、裏を返せばいかに鯛の刺身が売れているかということ。日本人って本当に鯛が好きなんですね〜。

私はといえば、鯛の刺身は嫌いではないですが、少し火を通した方が好き。鯛チリが一番かな。少し厚めにそいだ身、きれいにウロコをとった皮を熱湯にさっとくぐらせ、ポン酢でいただく。もしくは、少し醤油に浸した身・皮とワサビををご飯にのせ、熱いお茶をワサビを避けて回しかけ、身がうっすらと白くなったところでいただく、そんなのが好きです。完全な生の刺身より、こちらの方が鯛がよく味わえると思ってます。

それはともかく、鯛のアラ。欲しくなったら毎日でもあるので、一時期は毎週のように買ってましたが、最近はさすがにその熱も冷め、2〜3ヶ月に一度買う程度。2つ割にしたカブトが2匹分と、中骨、腹の剥身少々がセットになって、300円程度。安いのはいいんですが、処理が少々面倒なので、時間と気力に余裕がある時しか買いません。

カブトはとりあえず鱗をとります。鱗取り器があれば一番いいんですが、私は持ってないので包丁でやってしまいます。こめかみの辺りや顎の下の細かいところまで丁寧に。これをやっておかないと後で鱗が口に入って興醒めになります。慣れてしまえばすぐできるんですが、それでも割と面倒。鱗取りが終わったら、酒蒸しかカブト煮が定石です。カブト煮は魚柄流。一般的なカブト煮のように、濃い目の味でコトコト煮るのではなく、醤油は香り付け程度。5分ほど煮たら段ボール箱に入れて余熱で火を通します。魚の臭みも出ないので、生姜も不要。というか、私は生姜は魚の香りを楽しむには邪魔にしかならないと思っているので、どんな魚の煮物にも全く入れません。

こうして出来上がったカブト煮or酒蒸しは、“お前は骨標本でも作るのか?”といわれるほど食べつくします。カブトは、小さな中にいろんな味の肉がコンパクトに詰まっていて、楽しいことこの上なし。後頭部や頬の肉は普通の身に近いですが、目玉とその奥のゼラチン質、脳・延髄のとろっとした感じ、下唇の厚い皮と身の独特のコンビネーション、エラビレの内側の締まった肉など、たった一つのカブトで、いろんな味わいが楽しめて、コレお得。

中骨や剥身は塩をしてから炙って食べますが、これは生で食べるのが危ない鮮度の時のみ。身が薄いので、焼くとすぐにカラカラになってしまい、最上の食べ方とは思えません。鮮度がよければ、スプーンで徹底的にこそげとり、鯛茶漬け。すりゴマと醤油であえて待つこと15分。少なめに盛ったご飯に適量の身をのせ、ワサビをのせ、塩をパラリとふりかけ、熱い番茶を周りから流し込み、ガッと混ぜてバッと食う。コレ、最高。

身をとったあとの骨も捨てません。お椀一杯分の水と相応の昆布を火にかけ、沸騰前に昆布は取り出します。沸騰したら火を止め、骨・陳皮・麩を入れ、塩で味を調えてから醤油を一滴。蓋をして待つこと30秒で、極上吸い物です。吸い物を作る場合、下手に身がついているよりも、徹底的に骨だけにした方がシャープなダシが取れます。この味を覚えると、ちょっとその辺の吸い物は飲めなくなりますよ。

まあ、そんなわけで骨までしゃぶれる鯛、確かに高価な魚ではありますが、こう考えてくると結構お得かもしれません。最近は養殖物がかなり安く出てますしね。それでもひたすら鯛はアラを買う私。言い訳じゃないですが、そちらの方が楽しいのですよ。05/02/01(Tue)

今回は、鯛のアラではなく鯛の刺身の話。前回実家に帰省した折に、ちょうど知り合いが鯛を2匹くれたんです。ここは一発、以前から是非やってみたかった湯霜造りというやつに挑戦。刺身のバリエーションのひとつなのですが、皮を剥かず、皮の上から熱湯をさっと流してチリチリにして、刺身に引くというもの。見た目が松の皮に似ていることから、松皮造りともいいます。

これは、美味い。魚の本質は皮にありとシミジミ思いました。鯛のアラ煮を作ると、額の部分やアゴの部分に、非常に大きく食べ甲斐のある皮が張り付いているんですが、そこが美味い。魚があまり好きで無い人がアラ煮を食べると、こういう部分は真っ先に残されてしまい、残念なことです。まあ、本当に嫌いな人はアラ煮なんか頼みませんけどね。

そして、一般的に魚は刺身よりも少し火を通した状態が美味いと思います。日本で魚を食べるって言うととりあえず刺身ですが、実は違う。好みもありますけど、鯛の刺身より、鯛しゃぶの方が、ずっと鯛の旨味を味わえると思います。が、火を通し過ぎると魚の臭みが出てダメ。さっと火を通すと言うのがポイントなんです。その意味で、皮がついていてさっと火が通った湯霜造りというのは最高なわけですね。また、食べたいなあ。05/05/25(Wed)

鱈(タラ)アラ

アラって、魚によって全く違うのが面白いです。鱈のアラとして出るのは、切り身にカットした時に余った半端な身がほとんど。たまに骨が入っている場合もありますが、基本的には切り身の延長。中骨や頭が入っているものに出会うことは、あまりありません。ですので、アラの中ではかなり使いやすい部類に入るかと思います。

定番が塩焼き・ムニエルなのはもちろんですが、鱈といえばなんといっても鍋。アラだってタラの場合は普通に鍋が出来ます。大体一口大に切られている場合が多いのですが、大きすぎる身は適宜カット。土鍋に昆布を敷いて沸かし、タラを少しづつ入れて煮えたところからポン酢と大根おろしでいただきます。野菜はあまりゴチャゴチャさせずに、白菜一種くらいの思い切りがあると、更に良いかと思います。魚全般に言えることですが、煮えすぎるとパサパサになるので、火が通ったらすぐ食べるくらいの勢いで。

美味しく最後まで食べ切るためには、バッチ管理が一番。一回分づつ、煮えたら全部取り出して食べ、また一回分だけ入れて、の繰り返し。のべつまくなしに投入すると、必ず煮え過ぎてヘロヘロになった具が出現します。そのダメっぽさがまた家庭の鍋の楽しみともいえるんですが、私はどうもそういうのが好きじゃないので、フロー管理ではなく、一回分づつバッチ管理します。ちなみにコレ、北大路魯山人流。

魚の全般に言えることですが、魚は皮が一番美味いです。鱈のアラはきれいなもので、骨も付いていないことが多いのですが、皮は結構付いてます。ここを捨ててはイケナイ。焼いてパリパリになった皮、熱湯を通してプリプリになった皮、ここを味わってこその魚喰いといえましょう。ユメユメ皮を捨ててはなりません。05/01/31(Mon)

鱈といえば冬ですが、心配ご無用、冷凍技術の発達した現在では、オールシーズンで鱈が食べられるのです。キモはほとんど見かけませんが、切り身ならいつでもOK。ただ、この時期さすがに鍋というわけにはいきません。しかし、白身の癖の無い魚ですから、どうとでもなります。

その中でも鍋の代わりにこの時期よく作るのが焼き物。塩焼き・ムニエルも作りますが、やっぱり味噌焼き。切り身に塩を振って一晩置いたものに、味噌と味醂を混ぜたものを絡めて更に一晩〜二晩。味噌を手でぬぐって網で焼けば、コレ最高。市販の味噌漬けはアミノ酸等の調味料が入っていて、正直あまり好きではないのですが、うちでは正真正銘、塩・味醂・味噌のみなので、いくらでも食べられます。堂々としたカッコイイ切り身で作ってもいいんでしょうが、うちで作るのは切り落としばかり。とはいえ、味にかわりはないし、一パック200円と言われたら、買わないわけにはいきますまい?05/05/24(Tue)

鮭アラ

アラの中で最もよく見かける鮭。パックの中身は、頭・中骨・尾周辺・エラ周辺あたりが入っていることが多いです。もし、頭に鼻先が付いていたら、薄くスライスして氷頭ナマスという珍味中の珍味に加工するのですが、残念、滅多に付いてません。私の行く店では、鮮魚部のスタッフがかわるがわる持って帰っているのではないかと睨んでます。それくらい、美味しい。加工とはいっても、スライスしたものを軽く塩で揉んでおいてから酢で味を調整し、大根・人参などを千に切って入れるだけなので、すぐ出来ます。それにしても、鼻先が無い。

残ったパーツ、暇と元気があるときは鮭フレークにします。熱湯で茹でること約5分。笊にあけて、骨と身を分離します。以前は焼いてたんですが、かなり脂っこくなってしまうので、最近では茹でてます。これだと余分な油が流れて幾分サッパリしますから。分離した身をまな板にのせ、包丁で微塵に切ります。刻んだら軽〜く油をひいたフライパンに入れ、適当に水分を飛ばし、塩で適当に味をつけて完成。塩味の付け方しだいでは結構持ちますんで、お弁当用に重宝。

それほど元気が無い、もしくは面倒くさい時は、そのまま網で焼きます。定番中の定番メニューなので、不味いわけがない。切り身と違って骨がいろんな形に入り込んでいるので、食べるのが多少面倒ですが、私は自称魚の達人ですので、問題ありません。というか、骨ギワのこういうパーツの方が、単なる切り身よりずっと美味しいのです。面倒くさいからといって、美味しい部位を捨ててはいけません。

生鮭の場合は塩をしますが、すでに塩鮭になっている場合は、そのままタッパーに入れて冷蔵庫に入れておけば、3〜4日は持ちます。その間、ただの塩焼きの場合もあり、小麦粉をつけて焼く場合もあり、片栗粉をつけてさっとゆがく場合もあり。予め一口大に切ってさえおけば、その日の気分で色々使いまわせて、イイ感じです。05/01/30(Sun)

鮭のアラの中でも有数の美味しい部分のことを、書き漏らしていました。それは、皮。ブリの皮と並んで、鮭の皮は美味い。外で鮭を食べる時に、周りの人を見ていると、結構な率で皮を残していますが、あれは全然鮭の事をわかっていません。繰り返し書きます、鮭は皮。例えば、塩焼きにした鮭の皮。外側は薄っすら美味しそうに焦げ目が入っており、カリカリ・パリパリ。内側は脂肪分(コラーゲン?)が張り付いて、トロトロ。これが最上。身と一緒に端からかじっていくのが一番簡単で、一番美味しい。残した人と非常に気の置けない間柄である場合は、無論皮を貰います。これは海苔の様にご飯を巻いて食べるのが、よろし。

ムニエルなどになった皮も美味しいですね。ただ、こちらは皮単体だとちょっと食べにくい。しかし、洋食屋でご飯の上にムニエルの皮をのせるのは、もっと憚られます。そういう場合は、ベターな選択。皮だけ貰って付け合せの野菜と一緒に食べてしまう、かな。とにかく、鮭は皮。捨てるなんてとんでもないことです。05/05/23(Mon)


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