2006年05月

<<前<<   >>次>>

06/05/31(Wed)

アンチョビ仕込んでちょうど一週間。見込み通り三日目あたりでドリップが止まり、現在は完全安定期。一応夕食後にチェックしますが、見た目はほとんど変わりません。参考にしたサイトによると、ある程度安定したら、室温に戻して醗酵を促進させるそうですが、今の時期下手をすると30度近くになる室内に半日放置するだけで、急激に醗酵が進みすぎ、腐敗するリスクすらありますんで、やりません。冷蔵庫といっても冷えの悪いボロですし、結構開け閉めがあるので、それなりに醗酵は進みます。実際、現段階でもほのかな醗酵臭が出始めています。

粉料理は分量万能みたいなところがあって、きっちり計って作れば、そんなに大失敗はしません。醗酵モノはこの正反対。塩が少なすぎると腐るなど、抑えるべきポイントはありますが、大事なのは計量よりも観察眼。色や匂いから、現在の醗酵具合を適切に把握し、適宜手段を講じる必要があります。アンチョビや干し肉は、ある段階で塩抜きをして醗酵を止めなきゃいけませんが、そのタイミングを計るのも、あらかじめ決められた時間ではなく、目と鼻。このアナログさが、醗酵モノの醍醐味なんですよね。

06/05/30(Tue)

今年は、味噌の醗酵具合があんまりよくありません。5月に比較的肌寒い日が続いたせいでしょうか、思うように醗酵が進まず、そのかわり雑菌が繁殖してしまう場合がちらほら。うちは琺瑯のストッカーに仕込み、サランラップの蓋+琺瑯の蓋の二重で封をしているのですが、たまにチェックをすると、味噌の表面の所々に黴のコロニーができてしまっています。

そういう場合も慌てず騒がす。両手とステンレスのスプーンをウォッカでよく消毒し、サランラップを剥がして病巣を摘出。同じウォッカを霧吹きに入れてそこに吹き付け、塩を振って再び封をして一段落。どんなに注意をしていても、無菌室で作業をするわけにはいかないので、雑菌は混入します。それでも、味噌麹菌が活発に動いてくれれば、多数決の勝利ではないですが、雑菌は繁殖しません。早く暑さが本格化して、味噌の醗酵が進んでくれるのを祈るばかり。

例年味噌は11月頃に仕込むのですが、今年は何かと忙しく、仕込が1月にずれ込んでしまいました。それでも、順調に行けば秋口には美味しい味噌になっている…はず。味噌麹菌さん達には、頑張っていただきたい。

06/05/29(Mon)

暖かくなってきたので、裸足で愛用のトレッキングシューズをはいて一日を過ごしました。特に何の問題も無く一日が終わり、いつものように椅子の上で胡坐をかいてパソコンに向かっていた時に、立ちのぼってくる異臭。シマッタ、中敷をずっと洗ってない…。今までは靴下とあわせてこの靴を使っており、靴下はすぐ洗いますので、目立たなかったんです。靴下の布地にうつる臭いと、汗をかいた足にうつるそれでは、全然違うのですね。

でも、正直ちょっと気がついてはいました。頭の隅で、やばいな〜そろそろ洗わなきゃなと思いつつ、実害が目に見えて出ていなかったので、無かったことにしていたのです。一日中家事をしているわけにはいきませんし、そんな気力もありません。不要なことをしないのは、ある意味当然。ですが、このことと表裏一体にあるのが、必殺“無かったことにする”。確立された習慣というのは、普段その存在意義を考えたりはしません。ずっとやっていることを、そのまま次も続けるだけ。ここを掃除するか否か?なんて考えず、前回もやったからやるというのが一般的。毎回そんなこと考えたら疲れてしまいますから、それでいいんです。ただ、そのルーティーンの中で、今回の靴の中敷のように、“無かったことにされ”てしまう物件が時々でてきてしまうんですね〜、怖い怖い。

まぁ、小理屈をこねくり回してみたところで、結論は一緒。靴の中敷は定期的に洗いましょう、さもないととんでもない事になりますよってことです。予想通り洗った石鹸液はとんでもないことになりました。が、こういう風に豪快に汚れが出るの、嫌いじゃないです。

06/05/28(Sun)

先日は、キャベツ半玉50円に水菜一把30円×2と、半ば冗談のようなお買い物。雨の日はお客さんが少ないのか、投げ売りになっている率が高いような気がします。ポイントもサービスされますしね。とはいえ、スーパーのポイントカードは持っていません。200円で1ポイント貰えるんですが、50ポイント=200円程度の商品と交換。500円といった200円で割り切れない金額の買い物をすると、余った100円はポイント対象外となると、実質サービス率は1%を軽く切ってしまいます。こんなカードは、持ち歩くと財布がかさばるだけなので、私は申請すらしません。

反面、王手電気店のカードは10%超のポイントが常時つくので、こっちは愛用。でも、最近IT関連商品を買うことがないので、すっかり死蔵されてます。半年ほど前にUSBメモリを買ったのが最後かも。家にプリンタがないので、インクを買わなくて済むのが大きい。というわけで、私の財布は常にペラペラ。銀行のキャッシュカードを含めても、2〜3枚程度のカードしか入ってません。別にガマグチでもいいんですけど、今のところは普通の札入れ。

話は戻って買い物の行方ですが、キャベツは塩でもんで薄く切ったスライスと干し葡萄と一緒にオリーブ油であえてコールスロー風に。水菜は歯ごたえを残すようにさっと熱湯に通して、鰹節と一緒に醤油ベースのお浸しに。今月の食費、いまだ4,000円に届かず。こんな食生活してたら、当然ですけどね。

06/05/27(Sat)

ここのところ天候不順で野菜が高いと新聞に書かれていましたが、なるほど納得、確かに高い。例年この時期には、ナスやキュウリなどの夏野菜の価格が下がり始めるのですが、ナスは三つ一袋が148円、キュウリは三本一袋が98円。見方によっては十分安くもあるんですが、ミソジ基準としてはまだまだです。ただ今年は、雨は多いし気温は上がらないしで、このまま夏までいってしまうかもしれないですね。

仕方がないので、食卓の組立の中心は、芋類・人参・セロリなど年間通じてほとんど価格が変わらない商品群。特に、ポテトサラダがここのところ大定番となっています。繰り返し作っているために、品質もアップ。ジャガイモは皮付きのまま使用。自家製干し肉を刻んで入れ、オリーブ油・酢・塩胡椒でシンプルに味付けをし、ギャバンの乾燥パセリをこれでもかと振り込む一品。美味いですよ。それでもやっぱり恋しい夏野菜。ナスやキュウリが投げ売りされて、毎日そればっかりという日が来ないかなぁ、と思う今日この頃です。来たら来たで、早く秋の味覚が…なんて言い出すんですけどね。

06/05/26(Fri)

先日のキビナゴ、これでもかと塩をまぶしておいたら、大量の汁(ドリップ)が出てきました。これを醗酵させると、魚醤になります。フレッシュな状態なので、香りはまだほとんどありませんが、瓶に取り分けて経過を観察しようと思います。干し肉を作った時の感覚で言うと、あと数日はドリップが出続け、ある時期にピタッと止まります。その後は醗酵・熟成期間に突入。

室温下に放置すると、今からの時期あっという間に醗酵します。しかし、気温が高いと醗酵スピードが早すぎて、醗酵ではなく腐敗してしまうので、冷蔵庫の中でゆっくり醗酵させようと思います。うちの冷蔵庫はボロなので、冷えがそんなに良くないのです。まさに、渡りに舟。味噌を作っている経験からも、早すぎる醗酵スピードは百害あって一利なしです。毎日あれよというまに変わっていく状態を見るのは楽しいですが、味は確実に落ちます。何ごとも、ゆっくり・マッタリが一番。別に醗酵に二ヶ月・三ヶ月かけたって、味が良ければそれでいいんですから。

醗酵が終わったら、真水に漬けて塩抜きをしてから手開きにします。水気をよく拭きとってオリーブ油に漬け込み、一週間ほど味を馴染ませて完成…らしいです。気の長い話で、完成がいつになるかサッパリ分かりませんが、まぁ気長にマッタリいきましょう。

06/05/25(Thu)

親戚がキビナゴを一箱送ってきました。獲れたものを氷漬けにして漁港から直送するので、発送時期も“漁獲のいいタイミングで”と超適当。郵便局を使っているのですが、不在一日で返送というシビアさも、鮮度へのコダワリがうかがえます。着いたのをあけてみて納得。確かに獲れたて新鮮です。しかし、問題が一つ。頭もハラワタも全部ついてるんです…。

キビナゴというと、開いてすぐに食べられる状態で店頭に並ぶのが一般的。魚をおろすこと自体はどうってことないですが、数と小ささが問題。1.5kgのキビナゴだと軽く100匹以上はいますが、その頭とハラワタをとり、綺麗に洗って手開きにするとなると、これは結構な手間です。仕事から帰った直後に荷物を受け取ったので、ちょっとクラクラしました。が、鮮度が命ですから明日にするわけにもいかず、覚悟を決めてやりました。

ところで、荷物が届くことは一週間ほど前から知らされていました。1.5kgものキビナゴを生で食べ切ることは不可能なので、今年はアンチョビに挑戦しようと色々下調べをしてありました。アンチョビの製造は主に、塩漬け→醗酵・熟成→塩抜き→油漬けの四工程に分けることができます。どっかで見たことがあるなと思ったらコレ、毎年やっている干し肉と一緒なんですね。最後が油漬けか天日干しかの違いだけ。そうと分かれば勇気百倍。既にノウハウはかなり蓄積してあります。

とはいえ、塩漬けまでの下処理の大変さは一緒でした。頭とハラワタを除くのに1時間半(アンチョビ分は手開きはしません)、綺麗に洗って水気を切るのに半時間。鮮度を保つために大量投入した氷で、指先は真っ白です。ただ、ここまでくれば後は楽勝で、2〜3食分を除いて全部塩漬けに。1ヵ月熟成させて油漬けですから、食べられるのは6月終わり頃でしょうか。これだけ手間をかけておいて失敗したら泣いてしまいます。成功を祈る。

06/05/24(Wed)

昨日の赤木智子さんで思い出したことが一つ。以前どこかで彼女のインタビューを読んだことがあって、“自分達は人糞を堆肥にしてまで畑を作っているけれど、自給自足は目指さない。それを目標にしてしまうと、達成することが苦しくなってしまうから。忙しい時や足りない時は、買いに行きます。”という趣旨のコメントをしていたのが、とても印象に残っています。

私は基本的に全ての食事を自分で作っているわけですが、面倒臭くなったら躊躇なく外食、というルールがあります。以前、料理を始めた頃は、仕度も今よりずっと時間と労力がかかったし、それだけコストをかけても、質でも品数でも今よりずっと劣っていましたから、外食やスーパーの惣菜を利用することも結構ありました。でも、人間慣れるもので、どんなに疲れていても、台所に立つと手が勝手に動く境地になると、そういうものに頼る機会はぐんぐん減ってきます。しかし、前述のルールを放棄したわけではないんですね。今でも、面倒臭くなったら外食でいいやとは思っています。

勝手な想像ですが、赤木智子さんも実際はかなりの自給を達成しているんじゃないでしょうか。でも、それは自分にそういうエクスキューズを許しているからこそ、出来ることのような気がします。肩の力が抜けている感じが、とってもイイ。私は、人生毎日を楽しく生きることが一番で、衣も食も住も、そのための手段に過ぎないと思っています。たかが衣・食・住。それらに縛られて苦しくなってしまっては、本末転倒です。やっぱり、毎日テキトーが一番ですよ。

06/05/23(Tue)

フラフラと本屋を流していて、オッと目をとめたのは、赤木智子という人の能登での田舎暮らしエッセイ新刊。ペラペラとめくってみると、能登でのいわゆる絵に描いたようなスロウライフがつづられています。この人、別にエッセイストとして有名なわけではなく、この人のご主人が赤木明登といって、私が数年来使っている漆の汁椀の塗師なんです。

それぞれ別々の場所で買った、揃いではない赤と黒の椀がひとつずつ。それぞれ汁椀としてはかなり大ぶりで、茶碗と丼の中間くらい。値段は一個二万円前後なので、器なんて100円ショップで十分と考える向きには、何だそれ?という価格です。確かに高いんですが、毎日使ってるし、火事で燃えたりしない限りは一生使うつもりなので、別にどうということはありません。モノは、いいです。漆椀というと一般的に薄く繊細で、伝統的にはハレの日用。正月だけ出してきて、使い終わったらぬるま湯で洗って和紙で包んで桐箱へ、という感じですが、この人の椀はもっと無骨で、表面も一般的な漆椀と違ってつや消し。毎日使うことを前提に作られている気がします。

スロウライフの本を読むと、“器がいいと日々の生活がちょっと豊かに”なんて口当たりのいい営業フレーズが並んでいますが、毎日使っているとそれが当たり前になってしまい、その存在すら忘れてしまいます。最初のうちこそ、“おぉ、この口あたりが、この持った時の具合が”何て言っていますが、すぐに空気みたいな存在になってしまいます。

“日常に使うことのできるいいもの”の条件は、ひょっとしてそこに集約されるんですかね。あまりに馴染むので、すぐにその存在を忘れてしまう。その点、この人の椀は良いですよ。超オススメ。まぁ、よっぽど道楽者でない限り、椀一個に二万円は出せないと思いますけど。

06/05/22(Mon)

味醂と酒が切れそうになったので、近所のディスカウントストアに買い出しに行きました。味醂は1.8L(約600円)、酒は3L(約1,100円)。記録によると、前回買ったのは約一年半前。まぁまぁのコストパフォーマンスといえるでしょう。一人暮らしだとつい小さいボトルで買いがちですが、傷むものでもなし、どうせいつか使い切るのだから、私はいつも大き目の物を買っています。

それはともかくとして、そこで見た光景でちょっと気になったことが一つ。私は車に興味が無いのでサッパリ詳しくありませんが、BMWが高級車ということだけは分かります。BMWにもピンキリあるでしょうけど、その中のランクは分かりません。とにかく一台のBMWが駐車場にスッと入ってきて、その中から出てきたのは、ヨレヨレのトレーナーとジャージを着たオッサン。何を買うんだろうかと思って見ていると、発泡酒を箱買い。私はトレーナー&ジャージ&発泡酒が単体として悪いとは全然思いません。でも、BMWに乗っていてそれをやるバランスの悪さはちょっと疑問。

本来この人の(経済的な意味よりもう少し広い意味での)生活水準は、トレーナー&ジャージ&発泡酒なんだと思います。それが、少し頑張って一点豪華、BMWを買ってしまった。でも、それだけの経済力があるんだったら、生活全般をまんべんなく底上げしていった方が粋なんじゃないかな、と私は思います。たかが近所に買い物に行くだけなんだから、きらびやかなブランドをとは言いませんが、質素でもそういう意識がにじみ出るスタイルというのは、確実に存在します。腕時計だけに金をかけるオッサンを見て、私はいつもどーかと感じているのですが、要するにそれと一緒。バランスを欠くとカッコワルイです。

私?私は十年来の愛用ママチャリに着古した普段着姿ですから、バランスはバッチリです。

06/05/21(Sun)

先日実家からニンニクが20玉ほど送られてきたので、毎晩焼きニンニク半玉を必須にしています。以前は皮を剥いて醤油に放り込むニンニク醤油を作っていたのですが、うちでは本で読んだほど重宝することはなかったので、いつしか立ち消えに。オリーブ油に放り込むニンニク油も一時作っていたのですが、こちらもニンニクからのエキスで油が白濁してもまだ使いきれず、消滅。これらは確かにニンニクの風味がよい反面、汎用性が下がって使用頻度が落ちるという欠点があります。

ニンニクは放っておいてもある程度平気ではありますが、そんなことをしていると、また実家から何を送ってくるか分からず、ストックが一杯になってしまうに決まっているので、とっとと消費するに限ります。というわけで、手っ取り早いのが素焼き。欠片に分解し、根元を切り、皮の一部に切れ込みを入れたニンニクを、皮が黒く焦げるまで良く焼いて、塩つけて食うだけ。生の時に比べて香りもずっとマイルドになり、ホクホクして美味いです。ちょっと臭い百合根といった感じ。

ニンニクというと真っ先に、スタミナ増強が思い浮かびますが、ここ一週間食べ続けた結果、全くそんなことはありません。相変わらず箸より重いものはもてない体のまま。香りが強いんで、何となくそんな気がするだけなんじゃないでしょうか。なんたらという成分が含まれていると、まことしやかに科学的検証がされることもありますが、その有効成分がどれだけ含まれているかにもよりますし、他の食品との兼ね合いもあるでしょう。一概には言えません。それよりも顕著なのは、朝トイレが臭い。職場の同僚にニンニク食ったでしょと言われる。すみません、あと一週間ほどこの状態が続く予定です。

06/05/20(Sat)

うちの大家さん、お菓子が大好きで自宅に大量のストックがあるらしく、たまにうちにも回ってきます。そのほとんどが油で揚げて塩振った系かチョコレート系。どちらもそれなりに危険ですが、より危ないのは揚げ物系。私は自分では全くこういう類のものを買わないくらい、お菓子に執着はありません。しかし、油と塩とアミノ酸の計算しつくされたコンビネーションは、一旦食べ始めるとなかなか止まらず、一袋があっという間。あとで腹具合が悪くなることを十分自覚しているにもかかわらず、このザマです。自分の嗜好と体のことを考えれば、にっこり笑って受けとっておいて、こっそりそのまま捨てるのがベストなのですが、まがりなりにも食べ物ですから、そうもいきません。

それにしても、スナック菓子というのは習慣性がありますね。コンビニの棚がひとつ丸々そこに当てられているのも、十分納得がいくところです。タバコと一緒で、こういう習慣化するものは、一回の金額が低くても、一ヶ月のスパンで考えると結構な合計になっているものです。日常的に買っていると、計算してみてギョッとすることもあるんじゃないでしょうか。まぁ、そういう人はわざわざギョッとするために計算はしないんでしょうけど。

大家さんも歳なので、健康のためを考えると少し減らした方がいいんじゃないかとも思うんですが、そこまでは言えませんしね。難しいところです。

06/05/19(Fri)

先日の日経新聞の夕刊のエッセイで、小泉武夫が自宅で作る素ウドンについて書いてありました。麺は市販の茹で麺、具は味付けせずにそのまま千切りにした油揚げ、薬味は葱と七味唐辛子、以上。こうやってアッサリ書いてしまうと、大して美味そうにも思えなんですけど、この人が書くと“食べ始めると、美味の境地にあっという間に辿り着けるから格安の極楽食となる”そうで、今週末は温かいウドンにするか?と思ってしまうくらいです。このエッセイは人気らしく、もう10年以上連載が続いています。全て日経新聞社から単行本化されていますが、私は当然全巻所持。この人の食べ物の描写は、本当に美味しそうです。

その中の一冊で彼が自らの心の師である開高健氏の言葉を挙げ、“文章は逃げてはならない。それが文筆家のプロたる在り方だ。とりわけ食べもののことを書く時には、読む者をその気にさせなくてはならない。あまりに美味いので筆舌に尽くし難いとか、食った者にしか分からぬ味だなどという文章は、明らかに逃げである。しかしそれではいけない。どのように美味いのか、そのあたりの感覚を正直に文章にして、涎を流させることが文章家の力量だ”と言うのをモットーにしていると述べていました。まさにその通り。

私が好きな食の文章家は三人。小泉武夫・魚柄仁之介・壇一雄ですが、最近ここに開高健が入ってこようとしています。今更かもしれませんが、いいものはいつまでもいいんです。

06/05/18(Thu)

行きつけのスーパーのレジの横には大きなゴミ箱が置いてあって、買ったものの中で不要な部分はそこですぐに捨てられるようになっています。ありがちなのは大根の葉と葱の青い部分。どっちももったいないなぁと思いながら見ています。大根の葉は、店に出す際に外側の硬い葉を全て取り除き、かなり柔らかいものしか残っていないのですが、それでも捨てていく。お味噌汁の実にしてもいいし、胡麻油で炒めてもいいのに。

葱の青い部分は白い部分に比べて癖がやや強いですが、それでも普通に葱です。これは上京してきた頃から感じているのですが、こちらでは葱の青い部分は食べないという習慣がある気がします。東京の葱は親指ほどの太さのものが主流。それに対して、私が生まれ育った西の方では、こちらでは小葱やワケギと言われる細いタイプが主流です。根元数ミリほどしか白い部分は無く、基本的に青い部分も分けへだてなく食べます。私は小さい頃からこっちに馴染んできたせいか、葱の青い部分に拒否感がないんですね。この辺は育ってきた文化的な側面も多いかもしれません。小さい頃から太い葱で育つと、青い部分は捨てるものとインプットされてるんでしょうか。やっぱりこっちも、もったいない。

でも、さすがにくれとは言いませんよ。あ〜あ、と思いながら見てるだけ。これを言ってしまうと、一線を越えてしまうような気がしてますんでね。

06/05/17(Wed)

うちにはテレビが無いので、FMを聴きながら何かをすることが結構あります。ラジオの長所として、テレビよりも“ながら”がやりやすいということがあげられ、実際職種によっては職場でラジオがずっとついているというところも、珍しくないようです。職場からメールしました、なんていう投書がけっこうありますしね。

でも、私の実感で言うとラジオも、つけていると聴いていないようでいて確実に集中力の何割かを奪っています。無音の状態で料理を作っていると、ラジオをつけている場合に比べて1〜2割がた作業がはかどるのを実感します。こうやって文章を書く場合には更に顕著で、私はボーカルのない音楽でも聴きながら作業することができません。メールを書く時・サイトを更新している時は常に無音。

テレビをダラダラ見るのはよくないということがあちこちで言われていますが、このことに気がついて以来、ラジオも同じじゃないかと思うようになりました。そんなわけで、最近は決まったラジオ番組しか聴かず、その他の時間は無音。だんだんそれが、心地良く感じられるようになってきています。昨日はフライングした蝉の声が聞こえて、もうこんな時期かと驚きました。

ちなみに今一番好きなラジオ番組は、NHKFM土曜日夜の“世界の快適音楽セレクション”(パーソナリティはゴンチチ)と、J-WAVE土曜日夜の“Oz Meets Jazz”(同・小曽根真)。どちらもとっても上質な音楽番組です。J-WAVE平日深夜のショートプログラム“Making Sense”(同・三谷好喜&清水ミチコ)はトークが最高。いつも楽しみにしてます。

06/05/16(Tue)

実家からサヤエンドウが袋一杯届き、小一時間かけて莢を外したあと、現在怒涛の勢いで消費中。豆ご飯をメインとして、味噌汁にも入れますので、必ず二品は豆料理。先日はジャガイモの特売に遭遇し、ポテトサラダのジャガイモを半分にし、サヤエンドウと置き換えたやつを作ったら、かなり美味しいです。ジャガイモはこころもち荒めにつぶし、サヤエンドウはさっと茹でて混ぜ合わせるだけ。

私は魚柄仁之介という料理研究家(?)が好きなのですが、彼は野菜の中でも特に芋・豆類をたくさん摂ることを勧めています。葉物は茹でると随分カサが減ってしまいますが、これらは火を通してもずっしり重い。パッと見から明らかに体に良さそうですし、実際私も、これらが足りなくなると、体にイマイチ切れがなくなるのを実感します。野菜といっても私の中では序列があって、芋・豆>根菜>葉物という順番。ただし、葉物をないがしろにしているわけではなくて、野菜>魚>肉なので、最下位とはいえ、葉物もかなりの高いランクには入っています。

外食をしていて野菜を食べようと思っても、出てくる頻度はちょうどこの逆、葉物>根菜>芋・豆になるような気がします。やっぱり自分で作るご飯が最高ねと、最後はお得意の我田引水。

06/05/15(Mon)

喫茶店で珈琲を飲んでいると、知り合い(女・二十代後半)が“生まれて初めて合コンに行ってきた”とネタ満載だと言わんばかりの顔で入ってきました。“医者をはじめとするお金持ちばっかりの合コンに行くんだ”と、前回会った時にニヤニヤしながら話していたので、戦果はどうだったのかと思ったら、全然ダメだったとのこと。

とにかく、全ての会話がお金自慢に流れていくんだそうです。俺は年収○千万、隣のあいつが×千万…。コンパの席は男だけで資産運用の話で盛り上がり、帰り際の“あっ、俺たちが全部払うから。おごれるくらい稼いでいるから”の一言で、すっかりノックアウトして帰ってきたらしい。メールも電話番号も結局聞かずじまい。本人はネタコンパだと言っておりました。

少し前にホリエモンが、金で買えないものはないと豪語していましたが、私はそれはある意味真実だと思います。お金持ちということは、顔がいい・性格がいいなどと並んで、異性をひきつける際に大きなアドバンテージになります。しかし、何ごとも使い方が肝心。上記のケースは、教科書で悪い例として取り上げられてもおかしくない、ダメな見本です。合コンでお金持ちということを有利条件として使いたければ、チラッと見せることがキモなのです。ベタな例ですが、ロレックスをつけるとしても、これ見よがしにつけるのではなく、袖の奥にチラッと見えるようにつけるとか。

水商売系でもなければ、付き合っている理由の第一に堂々とお金を挙げる人はまずいません。裏返すと、“性格が良くて付き合い始めたら、たまたまお金持ちだった”などと思わせ、言わせるのが理想。全然分かってないんだよ〜と話す彼女の様子がとっても可笑しかったです。まぁ、彼氏と私の三人で一緒に盛り上がっている時点で、ネタコンパなんですけどね。

06/05/14(Sun)

“ゲッ、今日も雨だ”なんて毎日思っているわけですが、今年の初めに亡くなった祖母のことをふと考えました。彼女は、英語で言うところの緑の指を持つ人で、要するに園芸大好き。庭のあちこちに色んな花を植え、暇さえあれば草取り水遣りをしていました。ある久しぶりの雨の日、祖母が小さな声で何かつぶやいているので、何だろうと聞き耳を立ててみると、“久しぶりの雨で○○も××(どちらも植物の名前)も嬉しいじゃろう”とニコニコしながら語りかけているのです。植物は人語を解さないので、言葉などかけても無意味であると考えていた(実は今もちょっと考えてる)当時の唯物論的私は、軽いショックを受けました。以来、雨を見ると時々このことを思い出します。

ここのところ、日記にも“土があれば〜、土があれば〜”なんて書くことが多いですが、後ろに祖母が立っているからかもしれません。彼女の本業は苺農家。私の初アルバイトは、苺のパックにセロファンをホッチキス止めすること、です。一パック5円だったと思います。小学校低学年の頃の話。ただ、その頃苺は一生分以上食べてしまい、今では全く食べようと思わなくなってしまいました。駄菓子屋の子供は駄菓子を食べなくなることが少なくないそうですが、それと一緒です。

06/05/13(Sat)

ここのところ、東京は天気がすぐれません。ひょっとして、もう梅雨入りしたですか?平日になら、どんなに雨が降ろうと全然構わないんですが、週末土日の両日雨が降ってしまうのは、本当に困る。何といっても、洗濯物問題。うちには半月分ほどの下着セットストックがあるので、大概のことでは困りませんが、それでも、洗濯カゴに洗濯物がたまっているのを見る不快感は別物。乾燥機を買えば、問題は解決するのですが、アレは布地に良くないし、電気代もバカにならないので、私は買いません。そこで最近は、ゲリラ的に干す、コレです。

先日、以前からの天気予報では雨だったのに、朝起きると急に晴れているという日がありました。洗濯籠の中は三セットほどだったので、洗濯機を回すほどでもなし。また、出かける時間を考えると、それほどの余裕もありません。こういう時は、洗濯板ですよ。ものの5分ほどでバッと洗い、干す。こうやってチマチマでも処理していけば、塵も積もれば山、週末のカゴはそれほどひどいことにはなりません。今週末も天気悪そうですね。

別に雨降ってても外出する時はするんで、どうってことないですし、雨の中を歩くの、むしろ好きなんです。でも、週末だけは晴れて欲しいなと思う今日この頃。布団も干したいですしねぇ。

06/05/12(Fri)

先日のワンパターンの話の続き。うちは揚げ物は全くせず、炒め物も殆どしません。揚げ物をしないのは、後片付けが面倒・油が勿体無い・出来るものが油ギッシュだからという理由から。以前はどうしても食べたくなると、外に食べにいってましたが、最近枯れてきたのか、そういう欲求も起きません。炒め物をしない理由はこれとは少し違います。炒め物って、基本的にその回で食べ切る料理だと思うのです。そりゃまぁ、残った炒め物を冷蔵庫に入れておき、翌日チンしてというのもありますが、あくまでもそれは緊急避難。炒め物は作りたてが一番美味しい。でも、特に一人暮らしの場合、その場で全部食べきってしまうのは勿体無いと思ってしまうのですよ、手間が。でも、揚げ物と違って、欲求がわけばこっちは自分のうちで作ります。ごくたまにですけどね。

というわけで、うちは調理法すらワンパターン。煮物・蒸し物・お浸し系・焼き物がほぼ9割以上を占めます。なおかつ、一旦蒸したものを潰してまとめて焼く、といった複合技は、まず使いません。素材を調味料と一緒に、この四つのフィルターのどれかに放り込み、出力してハイ完成。できたものはタッパーに入れて冷蔵庫に突っ込んでおきます。(例外は焼き物。これだけは、焼く前の下味をつけた状態で保存してあります。)

ただ、これでもそれなりにバリエーションは出せるんですよ。煮物だったら、ダシに鰹節を使うか煮干を使うかでも全然違うし、醤油ベースor塩ベースor味噌ベースの選択肢もあります。素材によって、味醂を多めにして甘くしてみようかとか、片栗粉でトロミをつけようかとか、それこそ選択肢は無限大。見た目ほどはワンパターンじゃ無いんですが、やっぱりワンパターンといわれればそうなのかもしれません。

06/05/11(Thu)

先週実家からサヤエンドウが送られてきて以来、連日豆ご飯です。小麦粉をウドンにしたり、チャパティ状にして食べることもあるので、毎食がというわけではないですが、それでもほとんど豆ご飯。普通なら“もう飽きた”となるのでしょうが、私は自分が作るものに関しては飽きるということがありません。いくら続いても、平気。

例えば味噌汁。私はほとんど毎日味噌汁を作りますので、年間350回くらいは食べてます。味噌は常に自家製味噌。具は、冷凍の油揚げ・刻み葱と乾燥ワカメがレギュラーで、あとはその辺の野菜の切れッ端が数種類。ワンパターンこの上なしです。おかずにしても、いったん常備菜を作ってタッパーに入れれば、4〜5日かけてそれを食べ切るまでは、同じものがテーブルにのります。常備菜は何種類かあって、それが一気に無くなるわけではないので、組み合わせは変化していくんですけど、ユニットは同じ。

このサイトは文字だけですが、料理系のサイトには写真を載せているところも沢山あります。そういうところの料理は、毎日全然違う系統の料理のことも多くて、ビックリします。カレーの翌日が中華丼で、その翌日がオムレツとかね。すごいなぁと思う反面、私には絶対できません。うちの食卓を写真で載せたら、“これ昨日と同じじゃない?”となること必定。地味な食卓なんですよ、うちは。

06/05/10(Wed)

夏に向けて冷凍庫の掃除をしていて、奥の方から以前もらったレモングラスがジップロックに一袋、発掘されました。とりあえずこれがなくなればかなりのスペースが空くので、常駐のプーアル茶をレモングラス茶にして、急速消費中。レモングラスといえば、トムヤンクンですが、コンスタントに食べられるものではないので、没。レモングラスを煮出したお茶(?)は、冷やして飲むとすっきり爽やか。最近のジメジメした天気にうってつけです。

何かを煮出して飲むといえば、紅茶・緑茶をはじめとして、いわゆるお茶がメジャーですが、割と何でもいい気がします。少し前まではミントを煮出して飲んでましたし、春先には大家さんが干したドクダミをくれるので、それを飲んでます。田舎ではカラスノエンドウみたいな植物を焙じて飲むことも多いです。林檎の皮でさえ、乾かせばお茶のような飲み方ができてしまいます。毒でさえなければ、乾かして焙じてしまえば、それなりに飲めるのではないかと。昔の人がそうやって色々試した結果、一番美味しかったのが“お茶”だったんじゃないでしょうか。

それはともかく、うちはとりあえずこのレモングラスをなくすこと。夏になると氷枕用の巨大アイスノンを常駐させねばならないのです。

06/05/09(Tue)

先日の蕗と同じ箱で実家から届いたエンドウマメ。エンドウマメといえば、どう考えても豆ご飯しかありません。シーズン中の豆は甘いのよ。この豆ご飯、通常通りご飯を炊き、蒸らす直前に生の豆を放り込むだけという、アホみたいに簡単な手順で出来てしまいます。が、炊飯器を使っているとコレが案外難しい。大多数の炊飯器は、“今から蒸らしに入りますよ、ピー”なんてサインは出さずに、勝手に蒸らしに入ってしまいます。だから、他の台所仕事に気をとられているうちに、蒸らしのタイミングを失するということもしばしば。実は、多少ずれてもどうってことないのですが、蒸らし直前の蒸気が一番多い時が、やっぱりベストタイミング。

こういう時に、うちのような鍋炊き派は強いです。なにせ、蒸らす直前に自分で火を落としますから、“ここで豆投入”というタイミングが非常に明確。当然ですが、これは豆ご飯に限らず、蒸らす直前に○○を入れる系の炊き込みご飯全般に言えます。炊飯器がオートマとすると、鍋炊きはマニュアル。故意にお焦げを作りたいなどの変化球にも、楽々対応できるのが強みです。一軒面倒臭そうですが、点火してから食べるまで、蒸らしも入れて最短で15分(理想は20分)。点火・火の調整一回・蒸らし用のダンボールに入れると、三回しか人手を要しませんし、鍋も汎用のアルミ鍋でオッケー。慣れるととても炊飯器には戻れませんが、他人からは酔狂者呼ばわりされるという、マイナスもあります。いいと思うんですけどね〜。

06/05/08(Mon)

実家から蕗が届いたので、いつもの通り下茹でをしてから一晩水に晒してアク抜き。翌日皮を剥いて、熱いダシ汁を注いで自然冷却を待ち、味をしみこませます。ダシ汁は昆布とその場で削った鰹節を使った、ある意味贅沢なもの。ところが、タッパーの大きさ&中の蕗の量の関係から、お玉一杯ほどのダシ汁が余ってしまいました。無論、そのまま下水に流すなどというアホな事ができるわけがありません。

私は夕食の時に必ず味噌汁を作るのですが、具や味噌から十分な味わいが出るので、ダシは使っていません。でも、せっかくなので今回は、そのお玉一杯分のダシ汁を入れてみました。すいません、超・美味いです。昆布のダシの方はともかくとして、鰹節がよく効きます。うちの自家製味噌との相性が妙に良く、味わい度5割アップ。うちの実家は味噌汁のダシといえば煮干で、鰹節はむしろお吸い物用。鰹ダシの味噌汁というのが、とても新鮮でした。

ただ、惜しむらくは美味すぎる。大した量を入れていないはずなのに、鰹節の風味が前面に出過ぎてしまい、野菜をはじめとする具の風味が飛んでしまっています。これだったら、お玉一杯どころか大匙一杯(鰹節削り器でシュッとひと掻き分程度)で十分かも。これからしばらくかけて、適量を探っていきたいと思います。昨日のオッサンには分からない味でしょうね、フフフ。

06/05/07(Sun)

スーパーで買い物をしていると、棚の向こうからなにやら大きな声が聞こえました。こういう時は、何か面白いことが起こっているに違いないので、野次馬モード発動。棚に十数種類の味噌が並んでいる前で、面倒臭そうなオッサンが、バイトの若人に壊れた蓄音機の様に同じことを繰り返し主張しています。“ここには各社十数種類の味噌が並んでいるが、塩分濃度に関して統一した基準がないために、薄い味噌を買ってしまうと使用量が増えて困る。一小売店として味噌業界に働きかけを行い、例えばA〜Eといった五段階の基準を設けて、消費者の便宜を図ってくれたまへ”とそういう主張。バイト君、とんだ受難です。

でもこのスーパーは、全国チェーンでも何でもない地場の一スーパーです。そんなスーパーの、それもバイト君をつかまえて、全国の味噌業界に働きかけろ、はちょっと無理があります。というか、そのクラスの味噌を使って“美味くない”ではなく“塩が足りない”という感想が出るレベルの味覚なのだから、塩足せばいいんじゃね?というのが私の正直な感想。無論、言いませんでしたけど。昼間に何かムシャクシャすることがあった(かもしれない)オッサンと、貧乏くじを引いたバイト君。これだから野次馬はやめられない。

06/05/06(Sat)

月に一度くらいは、包丁を研ぐことにしています。切れ味の悪い包丁は、食材を切っていてストレスがたまるし、何より危ない。スパッと切れると刃の動きが予測できるのに対し、切れ味が悪いと変なところで引っかかったりして、どう動くか分からないことがあるのです。というわけで、昨夜は研ぎの日。おまけに研ぎ神様が降りてきたので、久しぶり(半年振りくらい?)に鰹節削り器の刃も研いでしまいました。

ものの本を読むと、中砥と仕上げ砥を準備すれば素人は十分、なんて書いてありますが、柳葉でなければ中砥一本で平気だと思います。私は一応仕上げ砥も持っていますが、三得・菜切・ペティナイフを研ぐ際には、使いません。鰹節削り器は、刃を本体から外さなきゃいけないので、ついつい研ぐのが億劫になってしまうのですが、本当はもっとマメに研がなきゃいけないんですよね。現に研いだ後は、呆れるくらい切れがよくなりましたんで。

一般に庖丁研ぎは難しいと思われていますが、私はそうでもないと思っています。それでお金をもらえるほどの精度で研ぐのは、そりゃ難しい。でも、研ぐ前よりも切れ味をよくするくらいだったら、結構簡単。研ぎ方の本を読み、砥石に向かって何度か実戦を重ねるうちに、あっという間に上手くなります。包丁研ぎの真の敵は、不器用さではなく、不精さです。マメにいきましょう。それに、切れ味の戻った刃物で何かをスパッと切った時の快感と、無心に同じ動作を繰り返す研ぎの過程は、それ自体で楽しい作業です。鰹節削り器ももっとマメに手入れしなきゃなとは感じてるんですけどね…。

06/05/05(Fri)

あちこちで言われていることですけど、味噌汁ほど簡単に出来て美味いスープはないと思うですよ。うちの最小ユニットは、乾燥ワカメ・冷凍きざみ葱・冷凍油揚げですが、これだって味噌さえ美味ければ、問題なく美味い。ダシだって、味噌自身がいい味を持っているので、特段不要。コストを見ても、ワカメ・油揚げは業務用スーパーで大量購入しますし、葱は見切り品放出を狙えばタダ同然。一人前の味噌汁に使う具の量なんて知れたものなので、永遠かと思えるほどもちます。

単純な料理だけに、味の鍵は何といっても味噌。私は自分で仕込んでいますので、手前味噌ながら超美味いです。原価は1kg600〜650円ほど(自分自身の手間賃は除く)。スーパーの安売りを狙えば、これよりはるかに安く仕入れられますが、あんまり美味しくないです。特にダシ入り味噌は、味噌の貧弱な味を濃厚な化学調味料の旨味で補っていますんで、イマイチ。自分で仕込まないまでも、味噌・醤油あたりはネットを駆使するなどして、いい物を使うのがよろしいかと。

ちなみに味噌汁は、冷蔵庫に残った半端な野菜を処理するいい方法でもあります。味噌汁にあわない野菜はまずないので、何でも火が通りやすい大きさに切って放り込んでしまえばよろし。ゴミも減ります。というわけで、味噌汁万歳なわけです。ちなみに昨夜は、半端の人参と里芋の味噌汁。葱のかわりに貰い物の三つ葉を散らして。美味いですよ。

06/05/04(Thu)

東京は暑かったり寒かったりですが、一歩下がって二歩進む、季節は確実に夏に向かっているようです。暖かくなって、部屋の中では素足になってます。畳の上・板の間の上ともに、素足がとても気持ちいい。うちでは、台所でもスリッパは採用していません。冬は靴下の重ね履き、夏は素足。

ところがこの素足、結構床が汚れるんですね。別に不潔にしているわけではないのですが、週末に台所の板の間の雑巾がけをすると、冬場とは汚れの度合いが結構違うので、ビックリします。足の裏は結構汗をかくので、床についた汗や脂が汚れを吸着するようです。靴下を履いているシーズンは、床の汚れはシンク・コンロの周りだけに集中するのに対し、素足のシーズンは、私が歩き回る範囲全体がうっすら汚れます。うっすらとはいっても、見た目には全然分からず、雑巾がけをしてはじめて実感できる程度ですよ、一応念のため。

汚れは忌み嫌われるものですが、実はそのほとんどが、人間の生活の跡だったりします。人間の生活がなければ、部屋の汚れは綿ぼこりくらいです。でも、毛や皮脂といったものの方が、汚れとしては多いんです。台所やトイレは最も汚れが激しい場所ですが、それも全て人間の活動のせいですし。汚れは人間の活動から不可避に生ずる、業だなぁと感じます。光があれば影がある、みたいな。だから、不精しないできちんと掃除しましょうよ…、あれっ、こんな結論でいいのか?

06/05/03(Wed)

実に久しぶりに牛筋半額に遭遇し、即購入。400gで400円が半額の200円。最近コラーゲンという単語がメジャーになってしまったせいか、半額のシールが張られた瞬間に無くなる牛筋。100g98円という強気の値段からして、ブームの香りを感じます。和牛の牛筋になると更に上がって148円。こっちは半額になっても100g74円なので、買いません。数年前までは、定価でも100g50円程度だったんですが、あの頃が懐かしい。

買ってきた牛筋は、圧力鍋に入れてしまえばすぐに柔らかくなるんですが、私は持っていないので、普通の鍋で地道に煮ます。繊維を断つ方向で切った牛筋を水から火にかけ、沸騰して少ししてからその煮汁を捨て、お湯でよく洗います。もう一度水を入れ、柔らかくなるまでコトコトと1〜1.5時間。食事をしたりしながらの作業ですので、この時間も無為に過ごすような事はありません。

ところが、現在うちの冷蔵庫の中では味醂醤油に漬け込んだ鶏モモ肉が待機中。動物性タンパク質がかぶるとロクなことが無いので、柔らかく煮込んだ牛筋は、味付け前の段階でタッパーに入れて冷凍してしまいます。肉・魚は一日一品、コレ原則。一週間の間に、見切り品の過熟トマトが手に入ればトマト煮になりますが、そうでなければ醤油と味醂で定番どおり甘辛く。さて、どうなるでしょうか。

06/05/02(Tue)

ここしばらく、風呂に入った後に、その日着た下着と靴下を残り湯で洗うようにしています。元々雑巾を洗ったり、バスタオルや布巾を浸け置きする際には、ずっと洗濯板を使ってきたので、手洗いはお手のもの。はじめたキッカケは、毎日水それも熱量を加えた水をただ無為に流してしまうのは勿体無いなと思い始めたことが一つ。もう一つは一年ほど前、一人暮らしをしている知り合いの女性が、洗濯は全部残り湯を使った手洗いなので、洗濯機は要らないと言い、実際持っていないというのを聞いて、面白そうだなと思ったことにあります。考えてみれば、一人暮らしだと、クリーニングに出すものを除けば、家で洗うものの総量はそんなに多くないのです。

始めてみて実感したのですが、これがなかなか合理的。その日の下着上下と靴下だったら、ものの5分で洗い終えてしまいます。ところが、手を使っているので汚れによって洗い方を変えられるうえに、お湯を使うので、汚れ落ちも上々。数が少ないので、干すスペースもほんの少しで済みます。

こんなことをやっていると、また一つ私の嫌いな“スロウライフ”に形の上で近付いてしまうのが難点ではあります。“毎日の生活を心豊かに”とか“ほっこり暮らす”とか、耳あたりはいいのですが、内容が曖昧で何を言っているんだかサッパリ分かりません。私が考えるのは、ただ合理性のみ。(マイナス)5分の手間と時間、(プラス)洗いあがりきれい・残り湯の有効利用・洗濯機の稼動時間軽減を比較して、後者に軍配が上がっただけの話です。この手間が15分になるんだったら、私はやりません。生活をトータルに考え、どうすれば更に楽になるかを常に考えること。目標は具体的明確な方がやりやすいです。

06/05/01(Mon)

気がつけばうちは、肉や魚がかなり少ない食卓となっています。外食で一回に食べる肉・魚の1/3も食べれば、あぁ今日は肉・魚な食卓であったと感慨を覚えるくらい、少ない。とはいえ、菜食主義者になるつもりは毛頭ありません。○○を食べちゃダメと食材に制限を加えるのは、何だか窮屈に感じるから。肉も魚も美味しい。でも、体が求める量は以前と比べて確実に減っています。

たまに付き合いで焼肉を食べたりすると、その時は美味しくいただくのですが、あとで必ず腹具合がおかしくなります。食べ慣れない食材の大量投入で、胃がビックリするのでしょう。以前は鋼鉄の胃袋かとも言われたものですが、貧弱になったものです。(止めとけという心の声を振り切って食べる意地汚さは健在。)ここ数年、スーパーであれこれ物色しても、以前と比べて動物性タンパク質に食指が動かなくなってきました。それでもまぁ、健康体でいられているのだから、今のところはコレでいいやと思っています。肥満とは無縁だし、成人病検診も余裕でクリアー。

とはいえ、肉や魚を全く断つと何らかの栄養バランスが崩れるようで、必ずといっていいほど口内炎が出てしまいます。それが嫌なので、食卓に絶やさないようにはしていますが、絶対量は驚くほど少ない。とっても健康そうな菜食主義者を見ても、実感としてそれが納得できます。どうやら人間の体が真に必要とする動物性タンパク質は、一般に考えられているよりもずっと少ないようです。それ以上はいわば“お楽しみ”の部分。“お楽しみ”は文字通り楽しいですが、度が過ぎると後でしっぺ返しが来るので、注意が必要かと思われます。

<<前<<   >>次>>

copyright by ミソジ since 2004/04/28
本サイトの無断利用は禁止デス。